2017.10.30
メディア紹介
西日本新聞 2017年10月29日掲載 社長インタビュー記事
高齢者の安全 見守ります
独自の映像技術で察知、スマホに通知
独自の映処理技術を生かした事業を展開するソフトウエア開発会社「ラムロック」(福岡県飯塚市)。
これまで高齢者の徘徊感知機器を生み出してきた同社は8月、高齢者の外出など異常状態を察知し、スマートフォンに通知する見守りカメラ「ラムロックアイズ みまもりCUBE(キューブ)」を発売した。
実用化までの道のりや事業に懸ける思いなどを、赤間俊和社長に聞いた。
(聞き手は西日本新聞社筑豊局長・西村隆幸)
始まりは、“おばあちゃん”
-時代は超高齢社会。国の推計で「2025年に全国で認知症を患う人が700万人を超える」といわれる中、「みまもりCUBE」の存在意義は今後ますます大きくなりそうです。この製品はどのようなきっかけで開発が始まったのでしょうか。
開発のきっかけは、今は亡き自のおばあちゃんでした。
89歳で独り暮らし。泥棒に3回も入られ、1度は鉢合わせにもなった祖母を、不審者から守りたくて「みまもりCUBE」の原型を自作しました。
仕事場と自宅リビングに置いたモニターで見守っていましたが、やがて防犯だけでなく健康状態も見守るようになりました。
この時、これは認知症高齢者の徘徊防止に役立つんじゃないかと考えたのです。
-もともとは防犯カメラの開発で注目されましたよね。
不審者を見つけて警報を鳴らす防犯監視システム「ドーベルマン」は、どんな人間の動きも感知する防犯カメラとしてテレビ番組「ほこ×たて」にも登場しました。
-トップレベルの技術や技を競い合う番組ですね。
スーパースローモーションの動きをするパフォーマーと対決したんです。
すぐに侵入を感知して警報を鳴らしました。この画像認識システムを応用したのが「みまもりCUBE」なんです。
コンセント一つで設置
-カメラのようには見えない外見も特徴の一つですね。
①カメラに見えないこと ②取り付けが簡単なこと ③安価で提供すること には特にこだわりました。
約9センチ四方の立方体にしたのは、撮影される抵抗感を極力なくすためです。
また一般的な見守りカメラは、動きを撮影するカメラと感知する赤外線センサ、通信のための回線を別々に取り付けますが、「みまもりCUBE」には全てが内蔵されています。電源コンセントさえあれば簡単に設置できるんです。
-介護保険が適用されるのも利用者にとてはありがたいことだと思います。
厚生労働大臣が定める「認知症老人徘徊感知機器」として福祉用具に認定されているので、月額の自己負担が約900円からレンタルできます。
ベッドからの離床や、玄関の出入りの動作を検知するよう設定すれば、そんな動きがあった場合、家族や介護施設のスマートフォンなどに画像付メールを送ります。
24時間付きっきりで見守る必要がなくなり、介護者の負担を減らすことができると思います。
-利用者からはどのような反響がありますか。
「センサやカメラなど、機器同士の相性の良し悪しに振り回されなくなった」「取り付けが簡単」などの声が寄せられています。
-認知症徘徊による行方不明を防ごうと、警察との業務提携も始まっています。
発売後すぐ、岐阜県警と提携を結び、県内の希望世帯に「みまもりCUBE」の無償貸与を始めました。
認知症の人が周囲に知らせず一人で外出しても、家族などが通知を受け取ることができ、行方不明の防止につながります。
徘徊に出てしまっても、着ていた服や家を出た時間を把握できるので、捜索の初動がスムーズになるそうです。取り付けが簡単なので、警察官が設置してくれています。
-それなら地域に密着した新聞販売店のネットワークも取り付けに協力できる気がします。
いろいろなところとの連携が考えられますよね。メール送付の通信面でもインターネット契約が不要なのは、NTTドコモの通信ネットワークを利用できるモジュールを搭載しているからです。
通信会社にとっては新しいマーケットの獲得につながっているようです。
-「一家に1台」も夢ではなくなるかもしれせんね。
本来なら高齢者の安全は家族や地域みんなで見守るべきところです。
しかし少子化などで介護に携わる人材の確保は難しい時代。
だからこそ、人の代わりに見守りの手伝いができるカメラを開発して、高齢者の地域での見守りに協力したいのです。
誰もが安心して暮らせるまちづくりに役立つ企業として歩んでいきたいと考えています。